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​設立趣意

近年、分子生物学の進展はめざましく、家畜の分野でも、QTL解析、遺伝子のクローニング、さらには遺伝子の発現・機能の解析などが急速に進められるようになりました。その結果、種々の遺伝病の原因遺伝子がクローニングされ、遺伝子診断が可能となっております。また、経済形質に関与している量的形質遺伝子座いわゆるQTLがブタ、ウシ、ニワトリなどで次々に検出されています。遠からずそれらの有用遺伝子がクローニングされるものと予想されます。すなわち、従来統計遺伝学においてブラックボックスとされてきた量的形質を支配する遺伝子本体の解析が可能となってきました。

 このような背景を踏まえて、これら最新の分子遺伝学の成果を育種に取り込み、統計遺伝学と分子遺伝学とが車の両輪となって、より高度な家畜育種戦略を構築することが必要となってきました。一方、体細胞クローンヒツジの作出に成功し、これが引き金となってウシの体細胞クローンの作出が日常の技術となりつつあります。これらにより、DNA情報を利用する産業いわゆるDNA産業が一層現実味のあるものとなっております。さらに、動物ゲノム解析の研究成果がヒトを含むライフサイエンスへ貢献できる状況も整いつつあるように思われます。いまこそ、動物遺伝育種研究の飛躍的発展を図るべきときにきております。

 これらの点に鑑みるとき、従来畜産学の中で家畜の育種や動物の遺伝学の研究に取り組んできた研究者と、獣医学、実験動物学、水産学などの分野で動物の遺伝と育種の研究に取り組んできた研究者が大同団結し研究を推し進めていくことが喫緊の課題となってきたように思われます。

 以上のような趣旨から、2001年11月に日本動物遺伝育種学会を創設いたしました。当学会では①分子遺伝学分野、統計遺伝学分野、遺伝資源分野など動物遺伝育種学のあらゆる分野が一体となって研究の進展ならびその応用に取り組める場とすること、②電子メールやホームページなど情報ネットワークをフルに活用して、情報の集まる学会、そして常に新たな情報が発信できる学会にすること、③会員の意見ができるだけ反映されるように運営し、一人一人が会員であることを自覚できる学会にすることなどを目標にしていきたいと考えております。

 動物遺伝育種分野で研究、教育、育種の実務・指導などに携わっている関係者の方々のご入会をお願い申し上げます。

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